不活化ポリオワクチンについて
2012/08/13

まだまだ暑い日が続きますね。これをお読みいただいている皆様,お元気ですか?
以前のエッセイは,ホ−ムペ−ジを管理していた会社のアクシデントで,全て消滅してしまいました。私としてもやる気満々で始めたコラムだったので,すっかり意気消沈してしまい,しばらく書く気になれませんでした。
本日から4日間夏休みをいただいております。ようやく自由な時間ができたので,久しぶりにエッセイを再開したいと思います。

今回は,『不活化ポリオワクチン』についてお話させていただきます。

9月1日から,現行の生ポリオワクチン(2回の経口接種)は定期接種からはずされ,代わって不活化ポリオワクチン(4回の皮下接種)が定期接種となります。
生ポリオワクチンは,2回の接種により強い免疫力が一生涯残るのが最大のメリットでした。一方で,約百万人に1人の確率でポリオ様麻痺が生じるという問題がありました。
今回導入される不活化ワクチンは,先進国の多くで導入されており,ポリオ様麻痺を起こす危険性がないのが最大の長所です。一方で,4回接種しても免疫力は約10年で低下してしまうのが欠点です。
そのため,不活化ポリオワクチンを導入している多くの国々では,10年ごとに成人にもワクチンの追加接種を行っています。
我が国でもそうなるのかどうかということを,7月26日に浦和で行われた不活化ポリオワクチンの説明会で,比企医師会代表で私が質問したところ,そのような議論が出るような状況ではまだないということでした。
西南アジアやアフリカの一部の国々で,いまだにポリオは流行しています。ポリオに感染しても,ほとんどの人は不顕性感染で症状が出ませんが,千人に1人の割合でポリオは発症します。 将来,免疫力の弱い国民が増えたところに,不顕性感染の状態にある人がこれらの国からポリオウイルスを日本に持ち込んで,ポリオの大流行が起こらないかという不安があります。
実際,アフガニスタンに出兵するアメリカ兵は,必ず生ポリオワクチンを飲んでから出兵することになっています。
1950年台から1960年頃にかけて,我が国でもポリオの大流行が起こりました。これに対し,生ポリオワクチンの接種が始まり,まもなくポリオの流行は収まりました。我が国では最近30年以上,自然株のポリオウイルスによるポリオの発生は1例もありません。これはひとえに,生ワクチンのおかげであると言えます。

マスコミやインタ−ネットなどの偏った情報により,生ポリオワクチンの接種率が,この1年間でかなり低下しました。不活化ポリオワクチンを個人輸入して,接種を行った医療機関もあり,そちらで接種をなさった方もおられると思います。
たばた小児科では,不活化ポリオワクチンをわざわざ輸入して接種するつもりは全くありませんでした。
その理由は,
@百万人に1人という極めて低いリスクを心配して,非常に効果のある優れた生ワクチンを避けて,わざわざ不活化ワクチンを接種する必要はない。
A日本国内で未承認のワクチンで副作用が生じた場合,何も保証されない(そんなワクチンを接種してよいのか?)。
B任意接種になるので,接種するのにお金がかかる(生ポリオワクチンは定期接種なので無料)。
ということです。
私の仲間の小児科医たちも全員が,個人輸入をしてまで不活化ポリオワクチンを接種する必要はないという考えでした。

ちょっと私の考えを発信するのが遅くなってしまい,驚かれたり気分を悪くなさった方もおられるかもしれません。ただ,この9月から生ポリオワクチンは定期接種からはずれます。今後は不活化ワクチンが定期接種となります。これは事実です。
要は,再び我が国でポリオの流行が起こらなければよいのです。そのためには,成人に対する不活化ワクチンないしは生ワクチンの追加接種制度の確立が重要と思われます。それと共に,全世界からポリオウイルスが1日も早く絶滅するよう,努力が続けられるべきでしょう。

不活化ポリオワクチンは生後3ヵ月から接種が可能です。生ワクチンの接種が2回終わっていないお子さんは,不活化ワクチンの接種が必要です。また,個人輸入の不活化ワクチンの接種が4回終了していないお子さんも,不活化ワクチンの追加接種が必要です。
接種回数や,接種するタイミングについては,遠慮なくお尋ねください。

11月からは,現行の三種混合ワクチンに不活化ポリオワクチンが混合された四種混合ワクチンも発売されます。これは,一度も三種混合ワクチンもポリオワクチンも接種したことのないお子さんが対象になります。
四種混合ワクチンについての詳しいお知らせは,また改めて行いたいと思います。

院長紹介欄にも書いてありますが,私は比企医師会小児科担当理事で,小児救急委員会と予防接種委員会の委員長を務めています。医師会の先生方への予防接種の説明や連絡,市町村との協議などを先頭に立って行っています。

予防接種についてご質問やご相談がありましたら,遠慮なくたばた小児科までどうぞ。

(今回は,エッセイというよりはワクチンの説明とお知らせが大半を占めてしまいました。申し訳ありません。)


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